飼い猫の平均寿命は15年ほどで、犬と比べるとやや長めです。それでも人間と暮らしていたら成長の早さを実感せざるを得ないでしょう。
大切な家族である愛猫には病気にかかることなく天寿を全うしてほしいものですよね。愛猫が健康で長生きするためには猫が発症しやすい病気を把握し予防すること、早期発見・早期治療に努めることが大切です。今回は猫の死因に多い5つの病気とその予防、治療方法についてお伝えします。
猫の死因第1位は悪性腫瘍
猫の死因として最も多い病気は悪性腫瘍、いわゆるがんです。発症部位により様々な種類がありますが、扁平上皮がん、肥満細胞腫、リンパ腫などが特に多いとされています。
症状にも個体差がありますが、しこりを確認して気づくケースが多いようです。また食欲不振や体重減少などの症状を伴うこともあるため、毎日の食事量や活動を注意深く見ておくことも効果的です。
治療方法としては人間同様に抗がん剤の投与や外科手術で対応します。
猫の死因第2位は泌尿器の疾患
なかでも腎臓病が慢性化した腎不全は発症率が高く、ゆっくり静かに進行するため初期に見つけることが難しく、とても恐ろしい病気のひとつです。
死因全体の30%も占めています。症状としては水を飲む量が増え、おしっこが頻回かつ薄いなどが挙げられます。この時点でもかなり病状は進んでしまっているため、気になったらすぐに獣医に相談しましょう。
多くの腎不全の原因は加齢によるものですが、5歳前後の若い頃に腎炎や尿石症に罹患歴があると、そのままゆっくり腎不全に移行していることもあるそうです。
予防策としては以下の通りです。
- 日頃から水分をたくさん摂取させること
- 栄養バランスのとれた食事を与えること
- 定期的な健康診断を受診させること
また、近年ではより高精度に腎臓の機能異常を検出できるSDMAという指標が話題になっています。3000円程度の検査費で早期発見、早期治療に貢献しています。
腎不全は一度発症すると完治が難しく、基本的には進行を遅らせながらうまくつきあっていくことになります。投薬や検査が長期的に続くため、愛猫はもちろん、飼い主にも大きな負担がかかります。そのためペット保険の加入はほぼ必須ではないでしょうか。
ただし腎不全のような治療が長期間続く病気に対しては、補償が初発の1年のみという制限がかかるケースもあります。契約時には更新時に条件をつけないプランや通院補償に手厚いプランを選択するのもおすすめです。
猫の死因第3位は猫伝染性腹膜炎
ウイルスを病原体とする感染症の一種で感染した個体の体液や排泄物が口や鼻から入り感染します。
症状は大きく分けてウェットタイプとドライタイプの2種類にわけられます。ウェットタイプでは腹膜炎からくる胸水の症状が特徴的です。一方ドライタイプは体内の臓器に肉芽腫とよばれる組織のかたまりができるのが特徴です。
免疫力が低下した時に発症しやすいため、予防方法としては清潔な住環境を維持する、ストレスをためないようにする、栄養バランスのとれた食事を与えるなどが効果的です。
残念ながら現時点では有効な治療方法は確立されていないため、発症しないように予防に徹することが唯一の対抗手段となりそうです。室内飼育を徹底し、野良猫との接触にも気をつけましょう。
猫の死因第4位は循環器系の疾患
突然死の可能性もある心臓病。猫の場合、心臓の筋肉に異常が起こる心筋症を発症することが多いといわれています。
心筋症にもいくつか種類はありますが、猫の場合心臓の筋肉が厚く大きくなって心臓内部を圧迫してしまう肥大型心筋症が大半を占めます。体が大きいほど心臓の負担も大きくなるため、大型のメインクーンやノルウェー・ジャン・フォレストキャットなどは体格的、遺伝的に発症しやすいようです。
大型の猫でなくても肥満傾向にある場合は要注意です。肥大型心筋症は5歳前後の若い時期に発覚するケースも多いですが、投薬と適切な処置でその後も長生
きできる可能性もあります。
初期段階では目立った症状がないため、定期的な健康診断での早期発見が重要です。
猫の死因第5位は猫エイズ感染症
猫免疫不全ウイルス感染症ともよばれ、野良猫や外飼いの猫から感染するケースが多いです。一度感染すると体内から追い出すことができず、完治も望めません。
免疫不全の状態を起こすことで細菌やウイルスに感染しやすく治りにくい体質になってしまうため命に関わる危険な病気です。
予防方法のひとつにワクチン接種があります。しかし飼育時の必須ワクチンでないという点と、取り扱っている動物病院が少ないという点から完璧な予防策とは言い難いでしょう。感染経路の多くが喧嘩時の咬傷や野良猫との交尾によるものなので、室内飼育を徹底することが何よりも大切です。
まとめ
猫の平均寿命は15年と上昇傾向にありますが、飼い主ならばできるだけ長く一緒に過ごしたいと願わずにはいられないでしょう。
猫特有の病気や一度発症すると完治が見込めない病気もありますが、多くは定期的な健康診断やワクチン接種、室内飼いの徹底、日々のコミュニケーションで
の観察を通して予防ができたり、早期発見することができるものです。
猫の死因となり得る病気を把握し予防に努めるというのは大いに有効ということです。愛猫が健康で長生きできるように今できることから始めていきましょう。